Yukimura×Shiraishi




「え?」

気づけば見慣れぬ天井が目に入る。
そして大好きな彼の顔がそれを遮る。
白石はそれを見上げる形となる。



おかしい。



さっきまで自分の横に座ってた彼。
そしてその彼を押し倒そうと力を入れた、はずなのに。


「んんっ!?」

白石の心の中の問いに答えが返ってくるわけもなく…
幸村の唇が白石のそれを塞いだ。






キホンは大切。






ずっと好きだった。


合同合宿をきっかけに連絡先を交換し、
互いに部長であり、趣味が近いこともあり親しくなった。

今思えば、一目惚れで…

遠距離ながら、持ち前の努力でアプローチし、
やっとのことで告白してこの恋が実った。



周りから、完璧だの聖書だの言われてても所詮は健全な男子中学生。
何度目かの逢瀬の今日、我慢できずに幸村を押し倒そうとしたのだが…





――――





「んぅっ…ちょ…っ待ちぃ…っ」

やっと解放された口で息を吸い込む。


やっぱりおかしい。


両手首を掴まれ、ベッドに縫い付けられている自分の状況に
白石は慌てた。



「なに?白石」


幸村はその手を緩めることなく、いつも通りの
綺麗な笑顔を見せた。


「なにて…おかしいやろ、この状況」
「そう?俺にはおかしいところなんて全く見当たらないけど。
恋人同士が部屋に二人きりとくればこうなるのは自然の流れじゃないか?」
「…俺が言うてるのはそういうことやない」
「じゃあなんだい?」
「ええか?こういうんは…
体格ええ方がタチになるんが基本やでぇ」
「…。」


おそらくこの場所が学校の廊下かなんかであれば、
そこにいた女子生徒たちが黄色い声を上げたであろう表情
(簡単に言ってしまえば所謂どや顔)で、白石は言い放った。
しかしここは幸村の部屋であり、そこにいるのは
幸村と白石だけなのでその場が一瞬しんとなっただけなのだが。



「…それが基本かどうかはわからないけど。それに
体格って言っても、俺たちそんなに変わらないと思うけど…」
「いーや!そんなことないでぇ、幸村クン!」

このままの状態で先に進まれてたまるか、とばかりに
白石が捲し立てる。

「白石」


それを早々に遮った幸村はにっこりと笑う。


「白石、恋愛まで君の言う基本に忠実にいかなくてもいいなんじゃないかな?
人の気持ちは教科書通りにはいかない。君もそれはわかってるだろ?」
「幸村クン…」


それは白石も痛いほどわかっていた。
教科書通りにいくなら、まず男同士でつきあったりはしていないだろうし
そもそもそんな教科書などないことも。



「…ゴメンな、幸村クン」
「ううん、いいよ。それに…」
「?」




「『勝ったもん勝ち』だろう?」
「!!!?」



にやりと笑った幸村からは王者の風格が漂っていた
…とかいないとか。


白石が何か言う前に、幸村は再び唇を塞いだ。






−あ、この場合『押し倒したもん勝ち』か

−ほんっっまにありえへん!!







【End?】